

同じ課に、同じ職位の二人がいる。給料はほぼ同じだ。片方は毎日取引先を回り、トラブルを収め、若手の面倒を見ている。もう片方は、定型の書類を定時までに仕上げて帰る。
どちらも「自分なりに働いている」と言う。
会社に、弱いも強いもない
会社は、同じ条件で人を働かせる場所である。職位が同じなら、給料も同じだ。そこには本来、強い人も弱い人もいない。同じ札を下げ、同じ値段で雇われている。
同じ値段で雇われているのに、やっている中身がまるで違う。それをおかしいと感じない人が増えた。
「人それぞれ」の拡大解釈
ダイバーシティも、ワークライフバランスも、正しい考え方だ。働く時間の使い方も、生き方も、人それぞれでいい。
ところが、この「人それぞれ」が、いつのまにか責任にまで広がっている。私は私のペースで働く。だから、できる範囲のことしかやらない。給料は同じでいい、というわけだ。
生き方は人それぞれでいい。だが、給料に対する責任は人それぞれではない。給料明細に「人それぞれ」という欄はない。
この人たちには、「多様性」という言葉が、自分に都合のいい意味で届いてしまっただけだ。私が気に入らないのは、その届き方である。
庇われたいなら、先に言う

前回、会社の優先席に座りたいなら札を下げよ、と書いた。
庇われたいなら、庇われる側であることを示せばいい。ほかの人よりケアが必要なら、そう言えばいい。怒られるのが苦手なら、最初にそう言えばいい。自分だけできないことがあるなら、それを示せばいい。
示さずにおいて、あとから「言い方がきつかった」「配慮が足りない」と言うのは筋が違う。相手はスカウターを持っていない。伝わらなかったのは相手の責任ではない。示さなかった自分の責任である。
色付きの札を売ったらどうか

そこで提案がある。札を作って売るのだ。
赤は、怒られて伸びる人。緑は、褒められて伸びる人。黄色は、伸びたくはないが普通のことだけはやる人。紫は、打たれ弱いので扱いに注意してほしい人。首から下げておけば、上司も同僚も迷わずに済む。気分で付け替えても構わない。月曜の朝は紫、金曜の午後は緑。
秘密戦隊ゴレンジャーを見て育った世代なら分かるはずだ。色を見れば役割が分かる。アカレンジャーが前に出て、キレンジャーはカレーを食べている。それで誰も文句を言わない。最初から色で示してあるからだ。
ニホンザルは、繁殖期になると顔や尻が赤くなる。言葉を持たない猿でさえ、自分の状態を周りに示している。
言葉を持っている人間だけが、黙って察してもらおうとしている。
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筆者:
齊藤壮太
横浜・世田谷育ち。学生時代は體育會剣道部、體育會本部に所属。大学卒業後、大手総合商社のサラリーマン経験を経て、2024年に起業。20年近い商社勤務の中で、不動産デベロッパー事業、アパレルOEM事業、自動車ディストリビューター・ディーラー事業、製紙事業、経営企画、ERP刷新PJ統括、デジタル推進組織に携わり、うち所属した5つの組織が解体された。従事した業務は、経営管理、予算・事業計画策定、M&A・PMI推進、原料調達、規程・制度導入、システム要件定義・PJ管理・推進、ロジスティクス管理業務など多岐にわたる。起業後は、日本食文化を世界に残すための取り組み、寺子屋講師、経営者のサポートなど幅広い実践経験を通じ、ハンズオンで経営課題に真摯に取り組んできた。
編集後記
自分なら何色を下げるか考えてみた。平日の午前は赤、午後は緑、締切前夜は紫。付け替えが忙しすぎて、仕事をする暇がなさそうだ。
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